HOME随想「東京下町物語」>下町のおじさん
随想「東京下町物語」
- 下町のおじさん -


下町ではおじさんが銭湯に入った後、
通りに縁台を出し越中褌姿で座っているのをよく見かけた。
子供は学校から帰ってくると、
カバンを家に放り投げて外に遊びに飛び出した。
遊びといえば、男の子は「めんこ」「ビー玉」「べーコマ」
「釘をさして陣地をとりっこする釘さし」
「付録のカードを手のひらでひっくり返すポン」。
女の子は「ゴム飛び」など。
男の子と女の子が一緒に遊ぶ「花いちもんめ」「缶ケリ」なども流行った、
子供は何人かで一緒になって外で遊んでいて、
「ご飯だよー」と誰かが呼ばれるまで、家に帰らなかった。
通りの縁台の褌いっちょのおじさんは、
子供の悪ふざけが行き過ぎると時々子供を叱る恐い存在で、
褌いっちょの裸なのに自信に満ちた顔をしていた。
またこの頃は、にわとりを飼っている家がときたまあり、
夜明けとともに「コケコッコー」と鳴き声が近所に響き渡っていた。
にわとりは卵をとるために飼われていたが、
時たま、夕方近くにけたたましいにわとりの鳴き声があがり、
その家のおじさんが、
にわとりの首をひねって夕食の鍋にしているのを見かけた。
またその家の隣のおじさんは、
ふぐを自分で料理して食べ、ふぐの毒にあたったらしく、
近所の人が大騒ぎしたことがあった、
近所の人がワァーワァー言いながら、道も鋪装されていないので、
家の前の道をスコップで人が入るくらい深く掘って、
ふぐにあたったおじさんを土の中に頭だけ出して埋めていた。
後で聞いたところふぐの毒を抜くのに、
昔から言い伝えられている方法らしい。
このやり方がよかったのかそのおじさんは助かって、
この後このおじさんも家から褌いっちょで銭湯まで裸でかよっていた。

チンドン屋 町を練り歩くチンドン屋